おおむね農夫、時に木こり。「山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし」(山頭火)。こんな生活のあれこれを綴ります。
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臆病者の烙印を押された戦闘機乗り
ゼロ 遠くに住む友人から1冊の本が届いた。百田(ひゃくた)尚樹の「永遠の0」講談社文庫。著者も本のタイトルも初めて見る名前だ。本に挿んであった一筆箋に、こんなことが書いてあった。「君の住んでいる山には本屋はないだろうから送る。いい本だ。読んでくれ」。本屋がない、とは失礼な。街に出れば2軒もあるぞ。

 本の帯に児玉清氏が「僕は号泣するのを懸命に歯を喰いしばってこらえた。が、ダメだった」と記している。26歳で死んだカミカゼ特攻隊員の話らしい。参ったな。世の中には泣きたいことが山ほどあるのに、なぜ今、戦争の悲惨さに泣かなければならないのよ。正直言って気乗りしなかったが、読み始めたら止まらなくなった。

 司法試験を落ち続けて無気力になっている健太郎とフリージャーナリストの姉、慶子の祖父、宮部久蔵は終戦の数日前、アメリカの航空母艦に体当たりして死んだ。終戦60年を機に慶子は弟を誘って、祖父がどんな人間だったか調べるために、祖父を知る元軍人を訪ね歩く。最初に会った男は「宮部は海軍航空隊一の臆病者」「命惜しさに逃げてばかりいた」と祖父を罵った。

 2人はショックを受けるが、めげずに証言を集めて行くと「天才的な操縦の腕を持ち、部下にも丁寧な言葉を使う」「この人のためなら死んでもいいと思った」という別の人間像が浮かんでくる。ジグソーパズルのピースを丹念に集める姉弟の行脚は推理小説の謎解きのようだ。

 私は児玉氏のように号泣はしなかったが、何度も本を閉じて涙をぬぐったと白状しておこう。特にパズルの大きな最後のピースがぱちりとおさまった時は呆然とした。姉も弟も祖父の生き方を知って自らの生き方が変わったが、私の内面も少し変ったように思う。

 筆者は圧倒的な筆力で複雑なことを易しく書いている。散りばめられている挿話の数々には、よくぞ調べたなと感嘆する。太平洋戦争で日本とアメリカが戦ったことも、それでどちらが勝ったかも知らない人でも、零戦や航空母艦が何のことか分からない人でも大丈夫。一読したら「いい本だ。読んでごらん」と誰かに勧めたくなると思うよ。

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2010.10.13 Wed 15:48:53 | | 0 track backs, 8 comments
コメント
この記事へのコメント
再び読書について
◎近日『ぼくらの頭脳の鍛え方』
―必読の教養書400冊―(副題)
〔立花隆、佐藤優著・文春新書・
No719・2009年〕を読
んだ。この手の本、まともな値
段(千円)で買うものですか!
愚息の本でした。
◎本書に2人の書棚所在(蔵書)
のうちお勧め各百冊が挙げられて
いた。それを点検すると立花氏は
拙僧と同年配だから重なる書籍
が多い。優君は若いから半分ほど
しか彼の愛読書をカヴァーできない。
◎言わんとするところは「今を時め
く両人でも拙衲レベルの読書歴」
である。彼らにしろ私にしろ自分の
テリトリ―(専門分野or好み<偏
在>は当然)で、己の気分と必要
で書物を繙読するのであり、該当
本から目新しい知見は多くは得られ
なかった。楽しい読書ではあった。
◎平均的には拙も同じレベルと
いささか安堵した。彼らをスケール
とした場合。勿論、人さまは人さま
である―。本書はレベルが標準(6
0点)的でよい本と思う。外国語
(英、露、仏、独、支那<正書>)
の素養は彼らに少し及ばないのは
遺憾だが―
【別のこと=早期の英語教育に
大反対:単なる記号言語を教えて
何になる!中学校からで充分だ。】
◎まァ、本を読み考えるのはよい。
読み方も娯楽、思索、楽しみ、実
利(図書館の本でさまざまなライ
センスを取得する人も)いろいろ
ある。
★言うまでもなく農作業、日常の
諸事万端の労働は尊い。拙の半生
も境内、墓地の掃除、草取り、雑
木伐採、屋内清掃と雑巾がけ、ゴ
ミ燃やし、雪おろし―也。人を迎
えるには先ず寺の“清すがさ”で
ある。私は未だ求道中で悟り澄ま
していないからせめて・・・。
ただ読書は“痴人(拙)の愛”で
ある。或るマスコミの記者、デレ
クターは「クアラ―ン」を読んだ
こともないクセにイスラム世界や
過激派について偉そうに喋ってい
る。井筒俊彦教授のよい翻訳
があるのに―。タレントはその程
度(浅薄きわまりなし)。タレン
ト=才幹ある者とは笑止千万だ。
◎田舎の沙門(Monk・且つ“
元chief head 
    libranian”
からのReportでした。
   ―終わります―
2014.06.30 Mon 20:20:34 | URL | 山」寺の和上 #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010.10.18 Mon 15:20:33 | | #[ 編集]
若くして逝った彼ら
そよかぜさん こんにちは。

 最後まで読めますとも。
宮部久蔵という魅力的な人物の生き方に
きっと胸が熱くなるでしょう。
特攻隊員は狂信的な愛国者でも軍神でもなく、
妻や子、親兄弟を愛する血の通った人間だったと改めて痛感しました。


 
2010.10.15 Fri 16:19:35 | URL | 沢太郎 #fZUo1r6Y[ 編集]
お門違いです
財務担当管理職さん こんにちは。

 日常の雑事をダラダラ書いているだけですから
参考にはなりませんよ。
2010.10.14 Thu 16:29:41 | URL | 沢太郎 #fZUo1r6Y[ 編集]
ありがとう
大阪の子育て主婦 トモさん こんにちは。

 いつも応援ありがとう。
2010.10.14 Thu 16:25:49 | URL | 沢太郎 #fZUo1r6Y[ 編集]
知りませんでした
ご友人の超おススメの1冊ですね。(きっと是非とも読んで欲しかったのでしょうねぇ)
沢太郎氏がいい塩梅に解説して下さり、私も読んでみたくなりました。
戦争の話をやさしく分かりやすく書かれているそうなので私でも最後まで読めるかな?
教えてくれてありがとうございました。
2010.10.14 Thu 16:23:29 | URL | そよかぜ #-[ 編集]
新しくブログを始めたので
いろいろブログの書き方を
勉強させてもらいに来ます。
2010.10.14 Thu 06:53:31 | URL | とある不動産会社の財務担当管理職の日記 #-[ 編集]
こんばんは、
ちょっと時間あいたので
応援しときます!!
2010.10.13 Wed 22:46:37 | URL | 大阪の子育て主婦 トモの日記 #-[ 編集]
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