おおむね農夫、時に木こり。「山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし」(山頭火)。こんな生活のあれこれを綴ります。
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ヘルンさんが見た?花
   ホウチャク

      林の草むらでホウチャクソウ(宝鐸草)が咲いていた。
     宝鐸(ホウチャク)とは、辞書などによると
     「寺の塔の軒下に吊るして風に鳴らす鈴」のことだそうな。
     花の形が宝鐸に似ていることからホウチャクソウと呼ぶようになったという。
     正直に告白すれば、私は宝鐸の字を読めず、どんなものかも知らなかった。

      ホウチャクソウは純白ではなく少し緑がかっている。
     ひっそりとうつむいて咲く様は、いかにも慎ましい。
     これまでブログに取り上げた一心行の大桜、黒木の大藤、
     山を覆い尽くすシャクナゲの大群落と違って、「大」の字とは無縁だ。
     そこがまたいいと言う人もいるだろう。

      こんな句がある。

          宝鐸草八雲旧居に見たりけり(西岡節山)

      松江で暮らしていたころ、城の近くにある小泉八雲旧居を何回か訪れた。
     しかし、旧居の庭でホウチャクソウを見た記憶はない。
     この花は、見ようとしない者には見えないのかも知れない。
     松江の人たちがヘルンさんと呼ぶラフカディオ・ハーン(八雲)には
     ホウチャクソウが見えただろうか。  
            
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2010.04.30 Fri 16:21:46 | | 0 track backs, 0 comments
タイムカプセル
     農具

       薪小屋の奥から農具らしきものが出て来た。
      棒の先に7本の刻み目がある板をはめ込んでいるだけの簡単な構造だ。

       これで畝を平らにならしたのか、
      ムシロに広げて干した大豆や小豆を掻き集めたのか。
      用途だけではなく、いつごろ使われていたのかも分からないが、
      木の状態を見る限り、それほど古いものではないように思える。

       高度経済成長期に入る前の昭和20年代――と仮定しよう。
      そのころの農具は村の鍛冶屋に注文するか自分で作っていただろう。

       あまり手先が器用とは思えない男がある日、小刀や鉈を使って農具をこしらえた。
      それから半世紀以上が過ぎ去り、今や昭和は遠い。
      よそ者の素人農夫(私のこと)が気まぐれにタイムカプセル”のフタをあけ
      農具を手にするとは夢にも思わなかったに違いない。

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2010.04.29 Thu 16:06:18 | 暮らし| 0 track backs, 0 comments
今年は失敗
    藤

      きのう27日、星野村に行く途中、黒木の大藤に立ち寄った。
     大藤は福岡県八女市黒木町の素盞嗚(すさのお)神社の境内に生えている。
     樹齢600年、国指定の天然記念物だ。

      神社の境内に入って驚いた。
     大藤に例年の華やかさがない。
     長さ120センチあるという花房は60センチぐらいにしか見えず、花色もくすんでいる。

      地面に無数の藤の花が落ちていた。
     5月上旬に訪れた去年はまさに見ごろだったが、
     今年は花の散り始めが早かったのだろう。
     その理由が天候不順の影響かどうかは分からないけれど
     花の咲く時期が毎年きっちり同じだったらかえって味気ない。
     晴れや雨、気温の高低で開花時期を占う楽しみは桜だけではないはず。

      来年は無いチエを絞って満開の藤に会いに来よう。

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2010.04.28 Wed 17:01:56 | | 0 track backs, 0 comments
世界より宇宙
    世界

       きのうのブログに書いた「世界最大級」の星の花公園(写真上)を見に
      星野村(福岡県八女市)へ行った。
      公園に着くころには雨がやみ、花を見るのにふさわしい爽やかな天気になった。

       さて、星野村の新名所は「世界最大級」と言えるかどうか。
      確かに7ヘクタールの山全体に沢山のシャクナゲが植えられている。
      だが、まだ歴史が浅いため木が若くまばらで、岩や地面が丸見えだ。
      世界最大級というフレーズの前に「将来は」、
      後ろに「目指す」と入れるべきではないか。

       花公園駐車場の入り口で1人(車1台ではない)500円の
      入園料を徴収された。
      看板にもパンフレットにも入園料を取るなんて書いてなかったぞ。

       山里の井の中の蛙に世界を語る資格がないのは分かっているけれど、
      世界最大を名乗るのも、入園料を取るのも10年か20年早いと思うな。

 宇宙

    星の花公園が世界最大級だとしたら、同じ星野村の
   ミヤシノシャクナゲ園は宇宙最大級だ。
   私の写真では山全体を覆うシャクナゲの圧倒的な量感を伝えることは出来ない。
   まあ、一度行って御覧なさい、きっと嘆声を挙げるでしょう。

    この山は元々、個人の所有で、持ち主が長年かかってシャクナゲを植えて来た。
   持ち主が亡くなって山を村に寄付して以来、
   集落全体で山を管理し、シャクナゲを植え続けているという。

    入園料は無料で、協力金を入れる小さな箱が置いてあるだけ。
   もちろん、協力金は強制ではない。

    シャクナゲを見るなら、世界より宇宙最大級だね。

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2010.04.27 Tue 18:04:08 | | 0 track backs, 4 comments
大きく出ましたねえ
看板 道の駅に星野村(福岡県)の看板が立っていた。
世界最大級の花公園だって!?
大きく出ましたねえ。

 でも、九州最大級とか西日本最大級とか遠慮がちに威張るよりずっといい。
いきなり「世界最大」とぶちかます心意気が気に入った。

 明日は雨の予報で、お百姓さんごっこは出来そうもない。
それなら是非とも星野村を表敬訪問しようではないか。
雨のウィークデーなら人出も少なかろう。
ひょっとしたら世界最大級を1人占め?――これは贅沢だぞ。

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2010.04.26 Mon 15:46:48 | 遊び| 0 track backs, 0 comments
猫の目
    猫目

       山の斜面の湿った場所に写真の植物が群生している。
      黄緑色の器のようなものは花だろうか。
      中の赤褐色の粒々は種のようにも見える。
      いずれにしても小さくて地味なので、最近まで存在に気づかなかった。

       植物図鑑によると、この植物はユキノシタ科の「猫の目草」であるらしい。
      イワネコノメソウ、ヤマネコノメソウなど沢山の仲間があって
      どれがどれやら私には見当もつかぬ。

       我が家には猫が2匹いて、猫の目は毎日いやになるほど見ている。
      猫の目には少々詳しいつもりだが、この草のどこが猫の目なのだろう。

       名づけた人の発想と想像力は凡人の及ぶところではないな。

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2010.04.24 Sat 15:56:20 | | 0 track backs, 2 comments
名前が知りたい
    歩く鳥

       農道の前方を小鳥が歩いている。
      右を見たり左を見たり、急ぐ様子はない。
      オジさんの散歩みたいに。

       何という鳥か知りたくて距離を詰めると、鳥も歩く速度を上げる。
      振り向かなくても音か気配で私に気づいているようだ。
      そのうち鳥は草むらの中に姿を消した。

       自然の中の鳥は鳥類図鑑の鳥のように全身を見せて静止していない。
      たいてい、遠方や木立の中でちょこまか動き、
      体の一部がわずかに見えるだけだ。

       上の写真のような後姿でも名前が分かる図鑑はないものだろうか。

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2010.04.23 Fri 15:29:42 | その他| 0 track backs, 4 comments
雨漏り
増水 昨夜来の雨は、ここ数日の雨の中で一番激しかった。
雨の強さが一定レベルを超えると、我が家は雨漏りする。
今朝、目が覚めたら心配していた通り雨が漏っていた。

 子供のころ住んでいた家も雨が漏り、洗面器やバケツで受けた記憶がある。
そして、晩年の住み家も雨が漏る。
振り出しに戻る、か――なんだかせつないね。

 家の近くの川が増水して大きな音を響かせている。
川の中に立って魚を狙うアオサギの姿がない。
空きっ腹を抱えて、どこに行ったのだろう。

 天気予報によると、24日と25日は曇りだが、26日からまた傘マークだ。
気温も上がらないという。
農作物への影響が心配だ。

 もっとも、政治家の先生方は内輪揉めしたり、新党ごっこに興じる余裕があるようだから、
下々の者が気に病むこともないか。

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2010.04.22 Thu 16:02:21 | 暮らし| 0 track backs, 1 comments
石工と生姜の里
      石匠

せせらぎ 片道2時間かけて八代市東陽町の医院で腰痛の手当てを受けた後、そのまますぐに帰るのはもったいない。
医院の近くを見て回ることにした。

 まず、道路脇の小さな案内標識を頼りに「東陽石匠館(せきしょうかん)」=写真上=へ。
「石工たちの匠の技を見て、聞いて、触れて、感じる」博物館にふさわしく、石造りの建物は堂々として美しい。
私はここに来るまで、東陽町が「江戸末期から大正初期まで全国に数多くの眼鏡橋を架けた日本一の石工集団発祥の地」(石匠館のパンフレットより)だとは知らなかった。

 次に訪ねたのは「東陽交流センターせせらぎ」(写真下)。
温泉、レストラン、お菓子工房を備えた道の駅みたいなものだ。

 野菜の直売所に生姜の加工品が多いので理由を訊くと、東陽町は日本有数の生姜生産地だからということだった。
このこともまた、知らなかった。

 「驢馬が旅に出ても麒麟になって帰るわけではない」という諺がある。
多分、その通りだろうが、今回の片道2時間の旅で、石工と生姜についてほんの少し賢くなったと思う。
違うかな?

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2010.04.21 Wed 16:30:31 | 暮らし| 0 track backs, 0 comments
白ひげ先生
くるま 雨の降る中、朝6時半に家を出て八代市東陽町のY医院に向かった。
腰と右足首の痛みを和らげてもらうためである。

 Y医院まで一般道路と高速道を乗り継いで片道2時間はかかる。
医院が受付を始めた直後に着いたのだが、医院前には既に10台近くが列を作っていた(写真上)。
すぐ近くの30台は収容できそうな病院専用駐車場(写真下)にもほぼ10台。
県外ナンバーの車もある。
失礼ながら田舎の小さな医院になぜこんな人気があるのか分からない。

駐車場 私は医院の名前はもちろん、東陽町の存在すら知らなかった。
2週間前に続き今日で2回通院するようになったのは口コミのお陰である。
集落の集まりで足腰、肩の痛みが話題になった。
私を含め多くの人が長年、整形外科に通い、手術した者も少なくない。
「どこかいい病院を知らないか」という話になった時、なんと3人がY医院の名を挙げたのだった。
「膝が痛くて、もう百姓はでけんかと思った」(70代男)、「家の中でも松葉杖をついた」(60代女)には劇的な効果があり、今は普通に農作業をしているという。
残る1人も「まあまあの効果はあった」そうだ。
誰にでも劇的に効くわけではないが、ダメ元で行ってみようと思ったわけである。

 さて、治療法だが、白いひげを生やした先生は「病気の根本を治すのではなく、対症療法」と明言している。
この方法で痛みが緩和されなかったら、手術を含む別の方法を考えればいい、と。

 私の場合、腰に2本、右臀部(尻)に1本の注射を打ち、電気で10分間腰を刺激して、2種類の漢方薬を1日3回飲むだけ。
その結果、医院に駆け込んだ時の痛みを10とすれば今は3になっている。

 痛くなかったら、2週間後には来なくていい、と白ひげ先生は言ってくれた。
もしも本当に腰痛におさらば出来たら、同病の誰彼に「あのな、東陽町に……」としゃべり散らすだろうな。

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2010.04.20 Tue 17:13:21 | 暮らし| 0 track backs, 2 comments
梅の実が頬を染めて
   青梅

      ミニ果樹園の梅に実が鈴なりになっていた。
     梅の木に梅の実がなるのは当たり前の話だが、
     花のころから見ているので、なにがしかの感慨はある。
     たとえば、よく知った人に赤ちゃんが生まれたような。

      梅の実は恥ずかしがり屋の少年少女のように頬を赤く染めている。
     この初々しさは、すれっからしの心にも響くだろう。
     自分にも、こんな無垢の時代があっただろうか、と。

      いずれにしても、それは遠い昔のこと。
     往時茫々、夢の彼方だ。
        
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2010.04.19 Mon 15:37:23 | 暮らし| 0 track backs, 0 comments
ツバメが気の毒
ツバメ2羽 道の駅の幟の上で2羽のツバメがしきりに鳴き交わしていた。
ツバメの鳴き声は「虫食って土食ってしぶーい」と聞きなすそうだが、彼らはもっと複雑なことを話し合っているように見えた。
ツバメが何を話しているか分かったら、どんなに面白いだろう。

 今年初めてツバメを見たのは3月20日。
腎臓結石の除去手術で入院していた病院の窓からだった。
その日は天候が刻々と悪化、夕闇が迫るころには激しい雨風に加え、雷鳴まで轟いた。

 日本と南の国を往復する旅でツバメを待っている艱難辛苦は悪天候だけではあるまい。
あの小さな体でよくぞ、と思う。

 昔はツバメが巣を作った家は福が来ると言って大事にされたが、昨今は糞害を嫌って巣を壊す人もいる。
命がけでたどり着いた父祖の地で受ける思いもよらぬ仕打ちだ。
ツバメが気の毒でならない。

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2010.04.18 Sun 15:08:54 | その他| 0 track backs, 2 comments
孝行息子
空豆花 「親は無くとも子は育つ」。
文字通りの意味だろう。

 いつのことだったか、「親はあっても子は育つ」と盛んに言われたことがあった。
子の足を引っ張る碌でもない親が横行した時代に、「それでも子は育ってほしい」という願望のように聞こえた。

 空豆の花が咲いた。
来月には沢山の実をつけてくれる。
塩茹でした豆をつまみにビールを飲み、新緑の山を眺めるのは5月の無上の楽しみである。

 私はソラマメの世話をほとんどしない。
にもかかわらず毎年花開き、実をつけるのは「親はなくとも」なのか「親はあっても」なのか。
どちらにしても、我が家のソラマメが孝行息子であることは間違いない。

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2010.04.17 Sat 16:20:54 | 畑仕事| 0 track backs, 0 comments
何とかなるさ
  紫花

     雨の降らない日は連日、山の斜面を這いまわってゼンマイとワラビを採っている。
    ぐ~たら農夫が山菜一点に集中すれば他の畑仕事はお留守になる。
    白菜に続いて紫キャベツの花も咲かせてしまった。
    草も伸び放題だ。

     早く畑仕事に戻らないと、夏野菜の準備が間に合わない。
    分かっているのだが、どこかに「何とかなるさ」という安易な気分がある。
    これまでだって、大抵のことが何とかなって来たではないか。

     紫キャベツの花は美しい。
    切り倒してしまうのは残酷だ。
    このまましばらく咲かせてやろう――というのは逃げ口上だろうか。

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2010.04.16 Fri 15:15:31 | 畑仕事| 0 track backs, 0 comments
まんの悪いトンボ
まんの悪い 霜注意報が出た今朝、谷間の段々畑にトンボがいた。
今年初めて見るトンボだ。

 よりによって、こんな寒い日に出て来なくてもいいのに。
「まんの悪いやっちゃなあ」と思わず関西弁が頭に浮かんだ。
関西暮らしは長いけれど、関東の育ちなので、関西の言葉の意味や使い方には自信がない。
「まんが悪い」は多分、「間が悪い」の訛りで、「運が悪い」とか「巡り合わせが悪い」といった意味だろう。

 たとえば、こんな使い方をしていたように思う。
友人と喫茶店で先輩の悪口を言って盛り上がっていたら、「まんの悪いことに当の先輩が隣りのボックスにおってな……」。

まんの悪い経験は誰にでもある。
気の毒なトンボが、寒さに負けずに生き伸びますように。

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2010.04.15 Thu 15:03:37 | その他| 0 track backs, 0 comments
おお、カビ様
乾燥ワラビ 暖かい日が少し続いてワラビやゼンマイがようやく大量に採れるようになった。
けわしい山の斜面を這うようにして上がり降りするのは結構きついが、趣味と実益を兼ねて足腰を鍛えていると思えば、さほど苦にならない(ホントかな?)。

 ワラビは農協に出荷する。
受付のお嬢さんが、「2、3日前から出荷が多くなってホッとしてます。今年はお天気がヘンですね」と言っていた。

 ゼンマイは天日で乾燥させて(写真)、お盆前後から少しずつ道の駅へ出す。
①茹でてアクを抜く②半乾きになったら丁寧に手で揉んで柔らかくする③日の当たる場所に並べて乾燥させる――といった手間がかかるけれど、値段は悪くない。

 難点は天候に左右されやすいこと。
雨が続き、少し気温が高いと、カビが生えて商品にならない。
しかも、どうしたらカビを防げるか私には分からないのだ。

 今日もどんより曇って、いつ雨が降ってもおかしくない天気だ。
おお、カビ様、腰痛持ちの農夫に免じてワラビをカビから守り給え。

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2010.04.14 Wed 15:59:47 | 畑仕事| 0 track backs, 0 comments
ばあちゃんの形見
     紫

       畑の隅で紫木蓮が咲いた。
      挿し木にしてから3年目、初めての開花だ。

       我が家の隣で一人暮らしをしていた97歳のばあちゃんが
      ちょうど今頃の季節、木蓮の枝を数本持ってきてくれた。
      しばらく玄関脇の大壺に活けたあと、
      ばあちゃんに教えられた通り、畑の隅に挿したのだった。

       それから数日後、ばあちゃんは脳出血で倒れ、
      意識が戻らぬまま3ヵ月後に亡くなった。
      紫木蓮は、ばあちゃんの形見だ。

       ばあちゃんは倒れるまでとても元気だった。
      庭の草をむしったり、若い娘のようにころころ笑いながら
      集落の人たちと立ち話をしていた姿を私は今でも鮮明に覚えている。

       倒れる少し前のある日、ばあちゃんはこんな意味のことを言った。

       一人で暮らしていると、誰とも話さない日がある。
       年をとったら毎日、外に出て人と話さないといけませんな。
       家の中でテレビばかり見ていたらボケますもん。

       これは私への遺言だ。
        
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2010.04.13 Tue 15:50:16 | | 0 track backs, 2 comments
父さんだって痛かった
    荷台の犬

         雨が強いので朝の散歩はやめた。
        畑に行くのも中止だ。
        その代わりに待っていたのは狂犬病の予防注射だった。
        オグリにとって今日は最悪の一日だっただろう。

         荷台や助手席に犬を乗せた軽トラがひっきりなしに
        我が家の前を通り、公民館に向かって行く。
        ワンワン、キャンキャンとにぎやかなこと!

         合併する前の旧村全体から集まる犬の数はさすがに多い。
        人間相手なら皮膚を消毒し、痛くないように静かに注射するが、
        獣医さんは犬の首筋にいきなり針を立てて、
        「はいっ次!」とまことに手際が良い。
        数十頭の犬の注射を1時間ほどで済ませてしまった。

         オグリは家に帰ってからも興奮していた。
        お前も痛かっただろうが、注射代3000円を払った
        父さんも痛かったんだぜ。

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2010.04.12 Mon 14:42:27 | 暮らし| 0 track backs, 2 comments
バナナの叩き売り
     女

      山鹿市の中心部を車で通りかかったら、商業施設「温泉プラザ山鹿」や
     足湯の周囲にテントや屋台が並び、大勢の人でにぎわっていた。
     忘れていたが、今日は山鹿温泉祭の最終日だったのだ。

      子供のころ祭りは特別な日だった。
     タライで行水(もう死語か?)をして、いつもより少し綺麗な服を着せてもらい
     夕闇迫るころ“縁日”に行った。
     参道の両側に夜店が軒を連ね、カーバイトガスの炎が辺りを照らしていた。

      普段とまるで違う雰囲気にわくわくしない子供がいただろうか。

    顔

      今は金魚すくいやイカ焼きの店を見ても心躍ることはないが、
     バナナの叩き売りは懐かしかった。
     バナナを売る男の「啖呵(たんか)ばい」が
     マイクの割れで良く聞こえないのも田舎の祭りらしいご愛敬。

      人生の風雪に耐えたであろう男の顔と
     渋い声の口上に接しただけで、祭りに酔ったあの頃が蘇えった。
     満足、満足――たまには街に出てみるもんだね。

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2010.04.11 Sun 15:30:14 | 遊び| 0 track backs, 2 comments
我が家の柱は太かった
    蟷螂

      子供のころ、草や小枝についている塊(写真)を
     カマキリの卵とかカマキリの巣と呼んでいた。
     実際は卵でも巣でもなく、卵はこの中に生みつけられている。
     泡が固まって暑さ寒さから守っている塊を卵鞘(らんしょう)というそうだ。

      ややこしいから子供のころと同じ呼び方をするが、
     谷間の段々畑近くで見つけたカマキリの巣はどこかヘンだ。
     先端が芽吹いている枝が巣を貫いているように見えないだろうか。

      よくよく考えれば、柔らかな枝が巣を貫く可能性は低い。
     カマキリが卵を生むとき、泡をぐるりと枝に巻きつけたのだろう。

      もうすぐカマキリの子供たちが孵化する。
     巣の外に出た彼らは後を振り返り、
     「ぼくたちの家の柱は太かったな」と言い合うに違いない。     

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2010.04.10 Sat 15:50:05 | その他| 0 track backs, 0 comments
そんなに急がなくても
  ベニシジミ

      山里ではまだ桜が咲いている。
     春が足踏みしているように見えるが、そうではないようだ。

      新緑が日々鮮やかな山々にミツバツツジガ咲き始めた。
     半日陰の山肌に咲いているのはシャガだ。
     目の前の草で羽を休めている蝶(写真)は多分、ベニシジミだろう。
     いかにも春らしい、いや夏服みたいに華やかな衣装ではないか。

      もうすぐ、汗と草いきれの季節がやってくる。
     加齢とともに体力が衰えている私は、いつまで季節について歩けるだろうか。
     「季節よ、そんなに急がないでおくれ」と願うばかりである。

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2010.04.09 Fri 16:15:49 | 暮らし| 0 track backs, 0 comments
これぞ春の味
      くれそん

        山の湧き水の流れに野生のクレソンがびっしり生えている(写真)。
       少し離れた場所には芹も負けずに茂っている。

        クレソンはピリッと辛く、芹は香りがとてもいい。
       さまざまな料理法があるようだが、私はどちらも
       お浸しか油で炒めて食べる。
       いかにも栄養がありそうな濃い緑、しゃきしゃきした歯触り。
       これぞ春の味だ。

        さて、今宵もクレソンで一杯やるとしよう。

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2010.04.08 Thu 15:37:29 | 食べる| 0 track backs, 2 comments
勘違い
   椿

       作家の向田邦子さんは童謡「赤とんぼ」の
      「……おわれて見たのはいつの日か」の歌詞を「追われて見た」と
      長らく思い込んでいたと何かに書いていた。
      十五で嫁に行ったねえやに背負われて赤とんぼを見たのに
      誰かに追われて見たと解釈されたのでは
      作詞の三木露風は天を仰いでため息をつくだろう。

       空き家の庭の草むらに椿の花が散っていた。
      花びらに張りがあって、落花したばかりのように見える。
      四月だというのにまだ椿が咲いている。
      今年は寒い日が多いから花が長持ちしているのだろうと思った。

       念のために見た植物図鑑には「花どきは長く、四月まで咲く」とある。
      歳時記によれば椿は春の季語だ。
      今の季節に椿が咲いて何の不思議もない。

       椿を冬の花と見立てたのは私の思いこみ・勘違いだ。
      他にも間違って覚えたことが沢山あるだろう。
      向田さんの「追われて見た」を笑えやしない。

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2010.04.07 Wed 15:58:32 | | 0 track backs, 0 comments
春の犬ひねもす……
       眠る犬

          霜が降りたかと思うと翌日は20℃を超える。
         このところの気温の乱高下に体がついて行かない。
         年齢のせいかな。

          オグリは若いから暑さ寒さを苦にしているようには見えない。
         汗ばむ日には運動を適当に切り上げて昼寝をしている。
         もっと暑くなったら谷川で腹這いになって熱を冷ますだろう。

               春の犬ひねもすのたりのたり哉

          もちろんこれは蕪村の句のもじりだ。
         夏日にもならなかった今日程度の暑さで
         早くも頭が朦朧として、こんな真似しか出来ない。
         高温多湿の夏が今から思いやられることよ。

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2010.04.06 Tue 16:30:23 | 暮らし| 0 track backs, 0 comments
踊子のたたり?
 踊り

      踊子を切るかどうか迷っている。
     いえいえ、人間の踊子ではなく踊子草(写真)のこと。

      ミニ果樹園や山菜を採る山に通じる道に踊子草がびっしり生えている。
     名前の通りなかなかの美形だ。
     草刈り機なんぞ持ちだして切り倒すのは無粋というべきだろう。

      だが、そろそろ蛇が這い出す季節だ。
     地面が見えない草むらを歩けば、うっかりマムシを踏みかねない。
     踏まれたらマムシは怒って噛みつく。

      とりあえず、よく歩く所だけ踊子草を刈った。
     大した面積でもないのに腰が痛くなった。
     踊子のたたりかな?

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2010.04.05 Mon 16:57:12 | | 0 track backs, 0 comments
昼酒を飲んで悪いか
      宴会

        今日は集落のお花見だ。
       ご婦人方が作ってくれた料理を食べつつ真昼間から大酒を飲む。
       会場の公民館から見える分校の桜は、まだまだ見ごろだ(写真)。

        「日が高いうちから酒を飲むなんて、
        結構なご身分だね」という人がいるかも知れない。
       だが、山里は働かずに酒が飲めるほど甘くはない。
       午前8時に集合して3時間がかりで
       集落内の県道、市道の草を刈ったご褒美の酒盛りだ。

        何か文句がありますか?

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2010.04.04 Sun 17:44:09 | 暮らし| 0 track backs, 4 comments
買った方が安い!
たけんこ 同じ集落に住むTさんの本業は大工。
余技の畑仕事は私と同じくらい下手だ。
肥料や資材に金を掛けているのに大抵、野菜の出来が悪い。
「道の駅で買(こ)うち来た方が安か!」とぼやくTさんを何度見たことか。

 20リットル近くの水を張った大鍋でタケノコを5本茹でた。
米ぬかや唐辛子を使わない代わりに水を足しながら2時間ほど茹でるのが我が家の流儀だ。

 水道やガスに頼ったら大変なので、山の湧き水と倒木を使う。
約1カ月、タケノコを茹でる期間に用意する水や薪の量は半端ではない。
タダだからいいようなものの、それは労力・手間を勘定に入れなかったら……の話だ。

 Tさんなら言うだろう。
「そぎゃん手間かくるなら道の駅で買うち来た方が安か!」

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2010.04.03 Sat 14:57:58 | 暮らし| 0 track backs, 2 comments
少し嘘っぽい
花桃 花桃の苗を2本買った。
近いうちに「果樹と花咲く木の山」に植えよう。

 花桃の苗は1本300円。
これまで買った木の苗の中で一番安いように思う。
数年前から山に木を植え始めた。
これまで何種類何本の木を植えたか把握していない。
(どこかにメモしておけばよかったな)
苗がみな、花桃並みに安かったら植樹はもっと捗っていたに違いない。

 高さ80センチほどの花桃が成木になり、晩春の山を明るく彩るのはいつのことだろう。
こんな句に出会った。

 桃咲いて百年先の我思ふ(小檜山繁子)

 作者が何歳の時の句か知らないが、「百年先」は少し嘘っぽくないか。
私ならせいぜい5年か10年先だ。

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2010.04.02 Fri 16:04:25 | | 0 track backs, 0 comments
安くて良かった
猩猩

    あまり日の当たらない山の斜面に猩猩袴(ショウジョウバカマ)が咲いている。
   花の大きさは写真より小さい。
   横を向いたり、うつむいて咲いているから、うっかり見落とすこともある。
   花の色が地味で、数多く咲いていても、どこか寂しげだ。

    ときどき覗く山野草の店で猩猩袴の鉢植えを300円で売っていた。
   びっくりするような値段でもないので、ほっとした。

    もし、一鉢3000円もの値段で右から左に売れたら……。
   盗掘屋さんが間違いなく山里を徘徊するだろう。
   「野の花は野で楽しもうよ」と言っても通じないだろう。

    猩猩袴に高値がついてなくて本当に良かった。

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2010.04.01 Thu 16:39:49 | | 0 track backs, 2 comments
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